目次
障害年金とは何ですか?
障害年金は、国の保険(社会保険)です。
保険ですので、万が一の場合に備えてあらかじめ保険料を支払っておき、実際に障害の状態になったときに、支払っていた保険料の対価として年金が支給されることを原則としています。
国民年金から支給される「障害基礎年金」、厚生年金から支給される「障害厚生年金」と2つの種類があります。
障害年金は、日常生活に困難がある場合や労働に支障がある場合に支給される生活保障であり、ほとんど全ての病気やケガが対象となります。障害年金を受給するためには
「加入要件」
「保険料納付要件」
「障害の程度要件」
の3つを満たす必要があります。
障害年金の対象となる傷病とはどんなものですか?
障害年金の対象となる傷病名を一部列挙したものが以下の通りです。
※ここに載っていない傷病でも障害年金の対象となることがありますので、ほとんどの傷病が対象となります。
主な傷病 | 診断書 | 診断書様式 |
---|---|---|
白内障、緑内障、ブドウ膜炎、眼球萎縮、癒着性角膜白斑、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、網膜剥離 など | 眼の障害用 | 様式第120号の1 |
メニエール病、感音性難聴、突発性難聴、頭部外傷または音響外傷による内耳障害、混合性難聴、喉頭腫瘍、上下顎欠損、脳血管障害等による言語機能障害 など | 聴覚、鼻腔機能、平衡機能、そしゃく・嚥下機能、言語機能の障害用 | 様式第120号の2 |
上肢または下肢の離断(切断)、上肢または下肢の外傷性運動障害、脳梗塞、脳出血、重症筋無力症、関節リウマチ、脊髄損傷、筋ジストロフィー、変形性股関節症、変形性膝関節症、脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)、繊維筋痛症 など | 肢体の障害用 | 様式第120号の3 |
統合失調症、双極性障害(躁うつ病)、てんかん性精神病、知的障害、アルツハイマー病、頭部外傷後遺症、広汎性発達障害、てんかん、高次脳機能障害 など | 精神の障害用 | 様式第120号の4 |
肺結核、じん肺、気管支喘息、慢性気管支炎、膿胸、肺線維症、肺化のう症、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、けい肺(これに類似するじん肺を含む) など | 呼吸器疾患の障害用 | 様式第120号の5 |
僧帽弁狭窄症、大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、慢性虚血性心疾患、冠状動脈硬化症、狭心症、ブルガタ症候群、心筋梗塞、胸部大動脈瘤乖離、悪性高血圧、肺血栓塞栓症、肺動脈性肺高血圧症 など | 循環器疾患の障害用 | 様式第120号の6-(1) |
【腎疾患】慢性腎炎、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、慢性腎不全 など 【肝疾患】肝硬変、多発性肝腫瘍、肝癌 など 【糖尿病疾患】糖尿病、糖尿病を原因とする合併症 など | 腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用 | 様式第120号の6-(2) |
再生不良性貧血、骨髄性白血病、血友病、クローン病、直腸腫瘍、膀胱腫瘍、ヒト免疫不全ウイルス感染症・その他続発症、慢性疲労症候群、化学物質過敏症 など | 血液・造血器・その他の障害用 | 様式第120号の7 |
障害年金をもらうための要件を教えてください
障害年金をもらうための要件は3つあり、障害年金が支給されるためには、原則として3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 加入要件
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を「初診日」といいますが、原則として初診日に被保険者であることが必要であり、これを「加入要件」と呼びます。被保険者とは、年金制度に加入している者であることという意味です。
例外として、障害基礎年金の場合のみ、被保険者ではない次の者も対象となります。
・「被保険者であった者であって、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満であること」
・「20歳前の期間に初診日があること」
※障害厚生年金の対象となるのは、初診日に厚生年金の被保険者であることが絶対条件となります。 - 保険料納付要件
【障害年金とは何ですか?】でもご説明したとおり、障害年金は保険であるため、万が一に備えてあらかじめ保険料を一定以上納付していることなどを原則としています。これを「保険料納付要件」と呼びます。したがって、一定の期日より前に一定以上保険料の納付等を行っていた場合に「保険料納付要件」を満たすこととなります。
「保険料納付要件」には原則と経過措置の2つがあり、どちらかを満たせばよいことになっています。具体的に詳しくご説明すると、次の通りです。
<原則>
3分の1を超えて未納がないこと。
<経過措置>
直近の1年間に未納がないこと
(※ただし、初診日に65歳以上の方には適用されません)。
※1 原則と経過措置いずれの場合も、初診日のある月の前々月までの納付状況等を確認します。したがって、保険料納付要件を判断する上で、初診日の前月以降については考慮する必要はありません。
※2 原則と経過措置いずれの場合も、初診日の前日において納付状況等が判断されます。保険料は2年までさかのぼって納めることができますが、初診日以降に納付等された保険料については保険料納付要件を判断する上で除外されるため、この点注意が必要です。これが「初診日の前日において」の意味となります。
※3 国民年金への加入は原則として20歳であるため、20歳未満の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
※4 必ずしも保険料を納付している必要はなく、免除や若年者納付猶予、学生納付特例が承認された期間については、保険料納付要件を判断する上で、保険料を納付したものと同義として取り扱われます。したがいまして、保険料の納付と免除等を合算した期間で保険料納付要件を判断することとなります。
※5 一部免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除)が承認された場合に、免除以外の残額を納付しない場合は未納となりますので注意してください。
保険料納付要件を満たしていないと、たとえどんなに障害の状態が重くても、その傷病では障害年金を受給する資格が認められることはありません。保険であるということを念頭に置き、いざという時に障害年金が望めるよう常日頃から保険料納付要件を満たす行動をとることが非常に重要です。どうしても支払いができない方は、所得によっては免除や納付猶予の申請などができる場合もありますので、住所地の市区町村の国民年金担当窓口または日本年金機構の年金事務所にお問い合わせください。 - 障害の程度要件
障害年金は受診して病気と診断されたからもらえるというものではなく、一定以上の障害の状態になっていることも必要な要件となります。これを「障害の程度要件」と呼び、原則として初診日から1年6か月経過した日または障害年金を請求する日現在において一定以上の障害の状態に該当していることが必要です。
※1 一定以上の障害の状態に該当しているかどうかは、診断書等によって診査されます。
※2 初診日から1年6か月経過した日を「障害認定日」といいます。
※3 一部の傷病については障害認定日の特例があり、初診日から1年6か月経過した日より前に医師が症状固定と認めた日があれば、症状固定日で障害の状態を診査されることになります。
初診日は注意が必要
「初診日」とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことをいいます。初診日は、加入要件、保険料納付要件、障害の程度要件を判断する上で非常に重要であり、初診日の特定は障害年金を請求するうえで最も大切な核となるものですので、厳密な判断が必要とされます。具体的には、次の点に注意して初診日を特定します。
①同一の傷病で転医(または転院)があった場合、最初にかかった病院の最初の診察日が初診日となります。
②過去の傷病が治癒し、再発した場合は、再発し医師等の診療を受けた日が初診日となります。
③誤診の場合であっても、正確な傷病名が確定した日ではなく、誤診をした医師等の診療を受けた日が初診日となります(※障害年金の請求傷病と相当因果関係がある場合)。
④障害の原因となった傷病の前に、その傷病が引き起こされた原因となったと認められる傷病があるときは、前発の傷病の初診日が障害年金請求傷病の初診日となります。
など
例えば、精神の障害の方はご自身に精神病の病識がなく、不眠や頭痛を感じてまず内科を受診され、内科的異常は見当たらないために精神科の受診を勧められて、その後精神科を受診するといったことがあります。この場合、内科受診に精神病との相当因果関係が認められれば、最初に内科を受診した日が初診日に認定される可能性が高いということになります。
なぜ「初診日」が大切かというと、初診日が特定できないと「加入要件」と「保険料納付要件」が判断できませんし、原則として初診日から1年6か月経過した日である障害認定日の状態を診断書に記載していただく必要があるのですが、その障害認定日も特定できません。
したがいまして、原則として初診日が特定できないと先に進むこともできず、請求までたどり着けないのです。
※ 20歳前障害など、一部の場合については一定の期間に初診日があることが証明できれば良いケースもあります。
相当因果関係について教えてください
「相当因果関係」とは、「原因」と「結果」の関係のことをいいます。
障害年金においては、前にかかったAという傷病がなかったならば後のBという傷病にかかることはなかっただろうと認められる場合の傷病Aと傷病Bの関係のことを「相当因果関係あり」といいます。「相当因果関係がある」場合、障害年金の取り扱いでは、その前後の傷病を同一傷病として取り扱うこととされていますので、たとえ傷病Aと傷病Bの傷病名が異なっている場合でも、この一連の傷病の初診日は傷病Aに関連する症状で初めて医師の診療を受けた日となります。
【初診日は注意が必要】でも申し上げましたが、初診日は障害年金を受給するために満たすべき3つの要件の判断のもとになる重要なものですので、この点注意が必要です。
▼「相当因果関係あり」として取り扱われる傷病の例を一部紹介すると次のとおりとなります。
①糖尿病と糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症などは、相当因果関係ありとして取り扱われます。
②糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎に罹患し、その後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係ありとして取り扱われます。
③肝炎と肝硬変は、相当因果関係ありとして取り扱われます。
④結核の化学療法による副作用として聴力障害を生じた場合は、相当因果関係ありとして取り扱われます。
⑤手術等による輸血により肝炎を併発した場合は、相当因果関係ありとして取り扱われます。
⑥ステロイドの投薬による副作用で大腿骨頭壊死が生じた場合は、相当因果関係ありとして取り扱われます。
⑦事故または脳血管疾患による精神障害がある場合は、相当因果関係ありとして取り扱われます。
⑧肺疾患に罹患し手術を行い、その後、呼吸不全を生じたものは、肺手術と呼吸不全発生までの期間が長いものであっても、相当因果関係ありとして取り扱われます。
⑨転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは、相当因果関係ありとして取り扱われます。
▼「相当因果関係なし」として取り扱われるものも一部紹介させていただきます。
①高血圧と脳内出血または脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱われます。
②糖尿病と脳内出血または脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱われます。
③近視と黄斑部変性、網膜剥離または視神経萎縮は、相当因果関係なしとして取り扱われます。
※ 取り扱いが難しいところでもありますし、相当因果関係は医学的判断が必要ですので、医師のご見解を仰ぐことが必要な場合もあります。
障害認定日とはどんなものですか?
「障害認定日」とは、文字通り障害の程度の認定を行う日のことをいいます。
原則として初めて医師または歯科医師の診察を受けた日(初診日)から1年6か月経過した日のことをいいます。
例えば、令和5年8月15日が初診日の場合、障害認定日は令和7年2月15日になります。
障害の程度を認定する日ですので、その付近の症状を診断書に記載していただくこととなります。
また、20歳前に初診日がある場合は、次のうちのいずれか遅い日が障害の程度を認定する日になります。
・初診日から起算して1年6か月経過した日
・20歳に到達した日(20歳の誕生日の前日)
<障害認定日の特例について>
「障害認定日」とは、上記でご説明したとおり、原則として初診日から1年6か月経過した日のことをいいますが、特例があり、初診日から1年6か月経過する日前に症状が固定したと医師が認めた場合は、その日が障害認定日となる可能性があります。
症状が固定したことを専門用語で「治った」といい、診断書などでは傷病が「治った」などと表示されていますのでご注意ください。
例えば、令和5年8月15日に脳梗塞を発症し、半身に麻痺が残った場合で、医師が令和5年3月3日に治療の効果が期待できず症状が固定したと認めたときは、令和5年3月3日が障害認定日となります。
▼具体的には以下のような状態が障害認定日の特例にあたります。
固定したと認められる症状 | 障害認定日 | 障害等級の目安 | 使用する診断書 |
---|---|---|---|
喉頭全摘出 | 喉頭を全摘出した日 | 2級 | 聴覚等 |
人工骨頭、人工関節の挿入置換 | 人工骨頭、人工関節を挿入置換した日 | 3級 | 肢体 |
切断または離断 | 切断または離断した日(障害手当金の場合は創面が治癒した日) | 1肢の切断で2級、2肢の切断で1級 | 肢体 |
脳血管疾患による肢体の障害 | 初診日から6ヵ月経過した日以後に医師が固定と認めた日 | 肢体 | |
在宅酸素療法 | 在宅酸素療法を開始した日(24時間使用が条件) | 3級 | 呼吸器 |
人工弁、心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)の装着 | 装着した日 | 3級 | 循環器 |
心臓移植、人工心臓、補助人工心臓の移植または装着 | 移植した日または装着した日 | 1級 | 循環器 |
心臓再同期医療機器(CRT)、除細動器機能付き心臓再同期医療機器(CRT-D)の装着 | 装着した日 | 2級 | 循環器 |
胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤により人工血管(ステントグラフトを含む)の挿入置換 | 挿入置換した日 | 3級(一般状態区分が「イ」か「ウ」の場合) | 循環器 |
人工透析療法 | 透析を始めてから3ヵ月を経過した日 | 2級 | 腎臓 |
人工肛門の造設、尿路変更術、新膀胱造設 | 造設した日または手術をした日 | 3級 |
※1 等級はあくまでも目安であり、症状等によっては異なる場合があります。
※2 主治医が症状固定と判断しても、日本年金機構の認定医により症状固定と認定されない場合があります。症状固定ではないと判断された場合は、初診日から1年6か月を経過した日またはその前にあらためて症状が固定したと医師が判断した日を障害認定日として請求することが可能です。
障害年金がもらえる障害の程度について教えてください
障害等級は、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」(以下、「障害認定基」という)に定められております。
障害認定基準は日本年金機構のホームページで閲覧・印刷が可能です。
障害認定基準から「障害の状態の基本」をご紹介すると、次のとおりとなります。
■1級
身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。この日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度とは、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。
↓
例えば、身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないものまたは行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるものである。
■2級
身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。この日常生活が制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものである。
↓
例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないものまたは行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである。
■3級
労働が著しい制限を受けるかまたは労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
また、「傷病が治らないもの」にあっては、労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。(「傷病が治らないもの」については、障害手当金に該当する程度の障害の状態がある場合であっても3級に該当する。)
■障害手当金
「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。
抽象的な文言で、上記のみでは判断が難しいため、障害認定基準には、障害の状態ごとにわけて、「どのような状態や数値であれば何級に該当するか」ということが定められています。難解ですが、ご覧になってみてもよいかと思います。
■1級
状況を整理して請求方法を選択しましょう
障害年金は請求を行うことで診査がされ、支給か不支給かの判断がなされることになります。したがって、請求を行うことが障害年金受給への第一歩となります。
請求方法は、大きく3つに分けることができますので、ご自身または障害を抱えている方の状況によって最善の請求方法を選択して実行することが重要です。
■障害認定日請求(本来請求)
障害認定日の障害の状態を表す診断書を添付し、障害認定日から1年を経過する前に請求を行う方法です。障害年金の支給が決定された場合は、障害認定日に受給する権利が発生するため「障害認定日請求」といいます。認められた場合は、障害認定日の月の翌月の分から年金が支給されます。
■障害認定日請求(遡及請求)
障害認定日の障害の状態を表す診断書と請求日時点の障害の状態を表す診断書の2枚を添付して請求を行う方法です。障害年金の支給が決定された場合は、障害認定日に受給する権利が発生するため「障害認定日請求」という点は①と同じですが、こちらは障害認定日から1年を経過した日後に請求を行う方法で、権利の発生が障害認定日にさかのぼるために「遡及請求」とも呼ばれます。
認められた場合は、障害認定日の月の翌月の分から年金が支給されることが原則となりますが、年金給付を受ける権利は5年を経過すると時効によって消滅してしまうため、時効にかからない最大で5年分の年金がさかのぼって支給されます。
■事後重症請求
カルテの廃棄や病院の廃業により、障害認定日の障害の状態を表す診断書が取得できないなど、請求日時点の障害の状態を表す診断書のみを添付して請求を行う方法です。支給が決定された場合は、請求日に受給する権利が発生し、請求月の翌月の分から年金が支給されます。
※1 ②の障害認定日請求(遡及請求)において、障害認定日の障害の状態を表す診断書を提出しても等級に該当する程度の状態にはないと判断され、請求日時点の障害の状態を表す診断書では支給が認められる程度の状態と判断された場合は、③の事後重症請求と同様の扱いになります。したがって請求日に受給する権利が発生し、遡及して年金は支給されずに、請求月の翌月の分から支給されます。
※2 ③の事後重症請求は、65歳の誕生日の2日前まででないとできませんのでご注意ください。
障害年金の金額はいくら?
年金額は、物価等の変動によって毎年見直されて変動します。
以下の障害年金額は、いずれも令和5年度(67歳以下の方)の金額です。
①障害基礎年金
等級 | 年金額 | 子の加算 |
---|---|---|
1級 | 993,750円 | 18歳年度末(18歳になって最初に迎える3月31日)までの子または20歳未満で一定の障害の子がいると、ひとりにつき228,700円が加算されます。3人目の子から、加算額は76,200円となります。 |
2級 | 795,000円 |
②障害厚生年金(年額)
等級 | 障害基礎年金額 | 障害厚生年金額 | 配偶者加給年金額 | 子の加算 |
---|---|---|---|---|
1級 | 993,750円 | 報酬比例の年金額×1.25 | 配偶者がいる場合は228,700円が加算されます。 | ①と同条件で加算されます。 |
2級 | 795,000円 | 報酬比例の年金額 | ||
3級 | - | 報酬比例の年金額 | - | - |
※1 障害厚生年金の1級および2級の場合は、原則として同じ等級の障害基礎年金も合わせてもらえます。
※2 障害厚生年金3級に該当し、算出した年金額が596,300円を下回る場合は、最低保証額として596,300円となる。
※3 子や配偶者については、生計を維持していることが必要です。
※4 配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上または共済組合等の加入期間を除いた期間が40歳(女性の場合は35歳)以降15年以上の場合に限る)、退職共済年金(組合員期間20年以上)を受け取る権利があるとき、または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止されます。
障害年金の請求後について知りたい
障害年金の請求を行うと、障害年金を支給するか否か支給する場合は何等級にするかという診査が行われます。診査には約3か月かかります。ただし、複雑な案件についてはさらに時間を要することがありますが、この場合は、約3か月の時点で、さらに診査に時間を要するという通知が送付されます。
診査が完了すると、支給の有無にかかわらず結果の通知がご本人様宅に送付されます。障害年金の支給が認められた場合は、通知の中に「国民年金・厚生年金保険年金証書」(以下「年金証書」という)が同封されております。
年金証書には、権利が発生した年月や等級、障害年金の金額などが記載されています。
障害年金の支給が認められた場合は、障害年金が指定した通帳に振り込まれることとなります。初回の振込は、年金証書が届いてから50日以内とされております。
年金の支払いにはルールがあり、原則として偶数の月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の15日に、年金額を2か月分に分割した金額が振り込まれることとなります。
支払月 | 2月 | 4月 | 6月 | 8月 | 10月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|
対象月 | 12・1月分 | 2・3月分 | 4・5月分 | 6・7月分 | 8・9月分 | 10・11月分 |
※1 初回の振込のみ奇数月の15日の場合があります。
※2 遡及請求の場合など、さかのぼって支給される分については、初回の振込時に一括して支給されます。
※3 偶数の月の15日が祝日などで金融機関がお休みの場合は、その前日や前々日の休日出ない日に振り込まれることとなります。
※4 各期支払額における1円未満の端数が生じたときはこれを切捨て、切り捨てた端数の合計額は2月期の支払額に加算されることとなります。
障害年金の更新手続(次回の診断書提出)について教えてください
障害年金を請求し支給が決定すると、病状の変化を見るため、原則として一定の期間ごとに診断書を提出しなければなりません。すなわち、更新の手続が必要になるということです。これを「有期固定」(有期認定)と呼びます。
病状が変動する可能性がある場合、その病状を勘案して、次回の診断書の提出時期が1年、2年、3年、4年、5年のいずれかで設定されます。例えば有期固定の年数が3年の場合、3年後に次回の診断書を提出しなければならないことになります。提出時期の誕生月の3か月前の月末に、日本年金機構からご自宅に診断書が郵送されますので、それを使っていただくことになります。これに従わずに診断書を提出しないと、年金の支給が止められてしまいますので注意が必要です。診断書には提出期限が決まっており、誕生月の末日までとなっています。
更新診断書を提出することによってその時点での障害の状態で診査が行われ、等級が変動し支給額が変更になったり、場合によっては支給停止になることもあります。
上位等級へ改定される場合は、誕生月の翌月分から年金額が改定されます。下位等級への改定や支給停止の場合には、誕生月から数えて4か月目から変更または停止されます。
したがいまして、更新診断書の内容も重要になりますので、医師にはご自分の病状を正しく表している診断書の記載をお願いする必要があります。
診査が終了し、引き続き年金の受給が継続すると、あらためて次回の診断書提出時期が通知されます。
「有期固定」の説明をしましたが、例外として、「永久固定」(永久認定)があります。永久固定とされた場合は、診断書の提出(更新の手続)が不要となり、一生涯その等級の障害年金を受給することが約束されます。例えば、肢体の切断などがこれに当たります。切断した部位が生えてくることや再生することはないためこのような取り扱いになります。